年末に近づくと魚市場や鮮魚店、スーパーの鮮魚コーナーにブリが多くが並び始めます。
年取り魚(としとりざかな)は正月魚(しょうがつうお)ともいわれ、年取り魚大晦日、年越しの食事につける魚、正月魚はお正月に食べると縁起が良い魚とされています。
地方によってはタラ、ハタハタ、クジラ、サメ、カツオなどと違っていますが、年取り魚の定番は東日本では「鮭(サケ)」、西日本では「鰤(ブリ)」といわれます。
とくに出世したい人におすすめの出世魚がブリです。
ブリはワカシ→イナダ→ワラサ→ブリと大きさによって呼び名が変わり、おせち料理にも鰤の照り焼きで入っていることも多く昔から出世や子供の成長を願う意味で食べられていたそうです。
今では年末に1本2万円以上もする天然ブリが日本中で飛ぶように売れています。
大分のかぼすを食べて育ったかぼすブリ
日本一の生産量を誇る「かぼす」、そのかぼすと同じくブリ養殖の生産量も盛んな大分が美味しさのピークを迎える冬限定で生産に取り組み始めたフルーツ魚、それが「かぼすブリ」です。
臼杵市や津久見市、佐伯市などで養殖されたブリに「かぼす果汁」や「かぼすの果皮粉末」を添加したエサを出荷前に30回以上与えることでかぼすブリへと成長させるのだとか。
そんな大分のかぼすブリ、大晦日と正月の縁起物として取り寄せてみました!
届いたかぼすブリはフィーレなので、中骨はありませんが、腹骨つき、カマ付き、皮つきです。
鮮魚店じゃなく直送なので、そもそもブリの皮剥ぎができない、する気がないなら鮮魚店で購入して捌いてもらう方がいいでしょう。
真空パックを開けていくとかぼすブリの半身が出てきます。
真空されていたからか、身が圧迫されているようで、ところどころ身がボロボロになっているところがあるのがちょっと残念。
ブリのうろこはしっかり取ってくれているので、まずはカマを落としていきます。
腹の部分に付いている骨を削ぎ取り、身を半分に切っていきます。
小骨が付いている部分を切り取って皮を剥いだらブリの4分の1ブロックが出来上がります。
養殖ですがしっかり身がついているのと、かぼす効果で変色や臭みを防いでいるので綺麗な身の色をしています。
ブリは締めてからおいしいのは数日間、血合いが早く変色してしまうのも早いので見た目の悪さから商品価値が下がりやすいのがネック。
柑橘系の抗酸化作用をもつかぼすをエサにすることで鮮度を長く保つことができ、くさみがなくなるのがかぼすブリです。
そんなかぼすブリと天然ブリはどのくらいの違いがあるのでしょうか。
かぼすブリと天然ブリの違い
12月末からはブリが最も脂をまとう時期、いわゆる寒ブリの季節。
普段買うことはなくても年末年始ではブリ1本を買ったり贈ったりすることが多いので大きなブリ1本が丸々並べられます。
今年はブリの不漁、コロナ禍、原油高などによってブリや輸入するタコ、カズノコ、カマボコも値上がりしていますが、12月31日と大晦日終盤だったこともあり、前日なら30,000円オーバーだった6kgの個体が20,000円で買うことが出来ました!
10kgオーバーの天然ブリなら半身でも60,000円ぐらいはするのを考えるとかなり安くなっていますね。
かぼすブリと天然のブリを並べてみました。
上の方がかぼすブリ、下の方が天然のブリですが、天然ブリの方が厚みはあり、かぼすブリは真空されていた分ややつぶれた感じがあります。
ブロックにカットしてみると、かぼすブリの方が色が鮮やか、天然ブリの方がちょっとくすんだ感じの色味に見えます。
天然ブリの方が身が引き締まっているように感じるのは背の部分と腹の部分の違いもあるかもしれません。
血合いが鮮やかな紅色をしているのはかぼすブリ。
身と皮の間に半透明の白い脂の層があるのと、霜降りのような白いサシが強いのは天然ブリですが、見た感じではどちらもおいしそう。
刺身にしたブリがこちら!上がかぼすブリで下が天然ブリですが、鮮度なのかやはり天然ブリの方が身にしっかりサシが入っているのがわかりますね。
近くで見るとその差は歴然!
ブリの問題というよりやっぱり真空されたかされてなかったかの差は大きいのかもしれません。
触感はやはり天然ブリの方がコリコリして歯ごたえがありますが、見た目の差に反して味はおいしい!
かぼすや柑橘系の香りはせず、ブリの匂いそのものですが、思った以上にかぼすの後味が強く、さっぱりした味わいです。
脂はあまりのっているような感じはしないですが、魚特有の臭みが苦手な人にはさっぱりとしたかぼすブリはおすすめかもしれません。
かぼすブリにおすすめな食べ方
天然ブリでもかぼすブリでも刺身で食べるのがおいしい。
ですが、とくにかぼすブリをおいしく食べるならかぼすのさっぱりした味を引き出すレシピが1番ですよね!
かぼすブリ茶漬け
かぼすブリの刺身とお茶漬けの簡単かぼすブリ茶漬けです。
お茶漬けがなくても刻みネギ、刻み海苔をかけて、漬け込んだタレや特製出汁をかけるだけでもOK!
- 漬けダレの材料
- 漬けダレ
- しょう油小さ
- みりん小さじ1
- こんぶ茶小さじ1/2
- 特製だしの材料
- こんぶ茶大さじ1
- 顆粒だし大さじ1
- 塩大さじ1
- うま味調味料少々
さっぱりした味が相性抜群で、食欲がなくてもペロリと食べれちゃいますよ。
かぼすブリしゃぶ鍋
かぼすブリはくさみがないからさっぱりしたブリしゃぶがおすすめ!
薬味でネギ、ゆずこしょう、七味唐辛子などをポン酢に加えるとより一層おいしいです。
- かぼすブリしゃぶ鍋の材料
- 刺身用かぼすブリ
- 大根15cm位
- 水菜1袋
- その他お好きな野菜など
- ほんだし小さじ2
- 水1L
- ポン酢適量
鍋には水とほんだしだけで十分!沸騰したら水菜と大根を挟んでかるくしゃぶるだけなのに、かぼすブリの脂とさっぱりしたかぼすの後味とポン酢の相性がまたいいです。
もっとかぼすブリの味を楽しみたい人は鍋に入れるのは塩だけでもいいですよ。
まとめ
かぼすブリと天然ブリでは脂ののりや触感に違いはあり、刺身で食べるならやっぱり天然のブリの方がおいしいですが、天然ブリと大きく違うかと言われるとそこまでの差はないかもしれません。
半身で真空されたフィーレになっているので買うのにも抵抗は少ないと思います。
ブリの脂がきつくなってきたなと感じている人にはかぼすブリはおすすめかもしれません。
大分の特産品「かぼす」で育てたかぼすブリですが、のほかにも日本一の生産量を誇る広島の特産品「レモン」で育てた「あたたブリtoレモン」、徳島特産の「スダチ」を餌に混ぜて育てた「すだちブリ」などがあります。
- フルーツ魚の種類
- レモンブリ(広島県)
- 甘味鮎(山口県)
- みかんブリ・鯛・サーモン(愛媛県)
- オリーブハマチ・ブリ(香川県)
- 讃岐サーモン(香川県)
- 直七真鯛(高知県)
- かぼすヒラメ(大分県)
- へべすブリ(宮崎県)
- ゆずブリ(鹿児島県)
- ぼんたんぶり(鹿児島県)
フルーツ魚は変色を防ぎ、香り成分やさっぱり感が増したり、魚の生臭さを抑える効果もあります。
養殖ですが天然ブリにも負けないフルーツ魚、年取り魚におすすめですよ!