日本には古来より信仰してきた宗教「神道」が一般的でしたが、日本人は無宗教と言われることがよくあります。
教会で結婚式を挙げ、クリスマスを祝い、正月三が日には神社へと参拝、盆には寺で経を読み線香を立て先祖の霊に手を合わせる。
このように誰しもが経験し、根付いてきた文化ですが、時には神道、時には仏教、時にはキリスト教と様々な宗教が入り交じるとても奇妙な風習です。
このように宗教は生活の一部として身近に存在していますが、お布施や寄付はまるっと非課税!
坊主丸儲けとはよく言いますが、一体どれぐらい儲かるものなんでしょうか。
そもそも宗教法人ってなに?
宗教法人とは、教義をひろめ、儀式行事を行ったり、信者を教化育成することを主たる目的とする団体を言います。
さらに、文化庁によれば宗教法人には神社、寺院、教会などのように礼拝の施設を備える「単位宗教法人」と、宗派、教派、教団のように神社、寺院、教会などを傘下に持つ「包括宗教法人」があるとされています。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/shukyohojin/index.html
非営利団体であり、文部科学大臣もしくは知事が所轄庁である広義の公益法人。
宗教法人法18条では法規に反しない範囲で宗教上の規約、規律、慣習及び伝統を十分に考慮するよう求められている団体でもあるとされています。
そんな宗教法人ですが、マイナーな教団でも豪華な施設を建設したり、教祖や教団幹部が豪遊できる背景には宗教法人に与えられる税金面の特権があります。
宗教法人は法人税が原則的に非課税
宗教法人が宗教活動としてお布施や寄付などによりで得たお金には原則として税金はかからない。
また、おみくじの頒布や祈祷料にも税金はかからず、100万人の信者が年間1万円を寄付するだけでなんと100億円!
ちなみに国内最大規模を誇る創価学会は公式サイトで会員数827万世帯、資料によってばらつきがあるが400万人程と言われている。
幸福の科学の公称信者数1100万人であるが、幸福実現党の比例代表得票数から見ればそれほどの規模はなさそう。
令和2年度版の宗教統計調査に掲載されている信者数の合計は1億83,107千人、これは創価学会や幸福の科学を抜けた数字です。
創価学会も幸福の科学も文化庁の宗教統計調査には掲載されていないが、他にも有名な教団の信者数はわかっています。
宗教法人 | 教師数 | 信者数 |
---|---|---|
神社本庁 | 21,619人 | 79,018,643人 |
浄土真宗本願寺派 | 19,205人 | 7,868,971人 |
真宗大谷派 | 17,145人 | 7,447,265人 |
浄土宗 | 10,620人 | 6,021,900人 |
曹洞宗 | 15,563人 | 3,705,362人 |
日蓮宗 | 7,873人 | 3,567,047人 |
立正佼成会 | 77,159人 | 2,283,023人 |
天台宗 | 3,964人 | 1,533,899人 |
真言宗豊山派 | 3,183人 | 1,420,180人 |
出雲大社教 | 8,212人 | 1,266,058人 |
天理教 | 144,200人 | 1,201,471人 |
霊友会 | 2,717人 | 1,197,711人 |
佛所護念会教団 | 4,038人 | 1,038,027人 |
信者数が100万人を超える宗教法人は数えるほどでしょう。しかし、1万人程の信者であればマイナーな教団でもよくあることがわかります。
1万人の信者でも年間1万円の寄付で1億円になり、それがまるっと非課税で手元に残る。
これが信者を集めるだけで莫大な資金を持つことができると言われている所以です。
詳しくは文化庁の宗教年間バックナンバーから見ることができます。
宗教法人の収益と財産を調べてみた
宗教法人は文部科学大臣もしくは知事が所轄庁とされていたが、扱いは公益法人ということで情報公開制度による開示請求をしてみよう。
マイナーな宗教法人ながら信者数は1万人を超える教団、全国に支部を展開しているので、所轄庁は知事ではないので開示請求は文化庁へ。
まずは文化庁の情報公開・個人情報保護ページから請求書様式をダウンロード、開示を求める行政文書については可能な限り詳細かつ具体的に記入が必要とされていますが、記載方法は記載例PDFで確認できます。
開示の実施方法は写しを郵送、宗教法人のお金の流れがわかる貸借対照表、収支計算書、財産目録を開示請求してみました。
すべて記入し、開示請求手数料300円の収入印紙を張り付ければ完成!
- 開示請求先
- 〒100‐8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
- 文部科学省大臣官房総務課公文書監理室 情報公開係
- 電話番号:03‐5253‐4111
開示請求した宗教法人の行政文書とは
ここまで順調に手続きが進み、文化庁の情報公開係の担当者と数回のやり取りを経て遂に届きました!
届いた封筒には文部科学省と一緒に大臣官房総務課公文書管理室情報公開係と重々しい文字が。
封筒を開けると中には開示請求した際の「情報文書の開示の実施方法等申出書」に文部科学省公文書管理室の受付印が押されたコピーがと一緒に開示された書類一式が入っていました。
請求したのは貸借対照表、収支計算書、財産目録の直近3期分。
直近の数値だけでは新型コロナの影響によって大きな変化があるかもしれないので、新型コロナが発生する前と感染拡大後で宗教にもどれほどの影響があったのかわかるようにしまた。
まずは貸借対照表から!
貸借対照表で何がわかるのかというと、財政状態を「資産」「負債」「純資産」から見ることができるもので、資産や負債、これまでに積み上げてきた利益がわかります。
バランスシート(B/S)とも呼ばれるものです。
がっつり黒塗りですね。
かつて、某組合の元専務理事が国の補助金を不正受給した詐欺事件で公開された公文書に対し、「これ、海苔ではありません」とツイッターに投稿されたことがあったことを思い出します。
次に損益計算書(P/L)にあたる収支計算書!
貸借対照表では完全に沈黙をつらぬいた公開文書でしたが、宗教法人の収入である売上高や利益がはっきりわかるのは収支計算書のほうですね。
なるほど、公開文書と言いながらもほぼ非公開。
ここまで公開されたのは黒塗り以外ないという結果に。
キャッシュフローは掴めなかったものの、財産目録には宗教法人が所有する株や預金などの金融資産、施設などの建物や土地などがわかります。
貸借対照表、収支計算書が黒塗りだったので金融資産は期待できないとしても、全国にある各支部は公開されているので少しは期待できるかも。
はい、全滅です!
情報開示といっても開示される部分とできない部分があり、すべて開示されるとは思ってませんでしたが、ここまで黒塗りというのはさすがに・・・と言いたくなるレベルですね。
開示請求してわかったこと
今回、宗教法人について開示請求をしてみましたが、わかったことは何もわからなかったということですね。
個人に関する情報や正当な利益を害するおそれがあるものなど、情報が不開示とされることはあります。
公益法人扱いであり、利益を追求しない宗教法人の情報が一切開示されないということは政治や事件、国際問題などで情報開示された黒塗り文書と同様、情報を隠したいという深い闇が見えてきました。
宗教法人が運営する事業はすべて非課税というわけではなく、収益事業に該当する事業に対しては課税されます。
それでも、非課税の部分や宗教による政治への干渉、無理やり信仰を押し付ける勧誘などカルト宗教の問題もある。
そういった側面からも、ある程度の情報は開示してほしいところですね。