与信管理はどうする?取引先やライバル会社の決算書を無料で見る方法と調べ方のコツ

与信管理はどうする?取引先やライバル会社の決算書を無料で見る方法と調べ方のコツ

取引先の情報を収集して分析し、新規の取引先として問題ないのかを判断したり、ライバル会社の業績動向やM&Aなど対象となる会社の決算内容を調べることってありますか?

上場会社の場合はWEBサイト上で「投資家情報」や「IR情報」を発信していたり、金融庁管轄のEDINET(エディネット)への掲載は法律で義務づけられているので上場会社の「有価証券報告書」を見ることができます。

上場会社は会社四季報やファイナンスサイトなどでも見ることはできますが、ほとんどの人が知っている内容ですよね。

決算公告の義務

決算公告は会社の規模や上場、非上場にかかわらず、すべての株式会社には決算公告が義務付けられ、官報、日刊紙、WEBサイトなどに掲載しなければなりません。

義務ならば掲載されている決算公告を見ればいいと思うかもしれませんが、まったく掲載していない会社や義務であることを知らない場合も多いようです。

また、有限会社、合同会社、個人事業主には決算公告の義務はありません。

与信管理に必要なのは会社の情報を知ること

まず必要なことは会社の情報を集めることから始まります。

会社が存在しているかを調べるには国税庁が運営する法人番号公表サイトを利用します。

国税庁の法人番号公表サイト
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

調べている会社所在地が賃貸でなく自社ビルなどの場合、ほかにも会社が登記されている場合は関連会社の可能性もあります。

必要であれば登記情報提供サービスで登記事項証明書を取得してみるのもいいでしょう。

登記情報提供サービス
https://www1.touki.or.jp/

会社の設立年月日や公告をする方法、資本金、役員などがわかるほか、移転した場合も記載されています。

抹消された事項は履歴事項証明書や閉鎖事項証明書、コンピュータ化される前の情報などは法務局でないと見れない場合もあります。

取引先やライバル会社の決算書を入手する方法

ここで知りたいのは他の会社の決算書って見れるの?ってところだと思います。

これについては、業種によって見れる場合があるといえます。どういった業種の決算書なら見ることができるのかをまとめてみました。

決算書が見れる業種
  • 建設業許可を取得している会社
  • 宅建業免許を取得している会社
  • マンション管理業登録会社
  • 建設コンサルタント登録会社
  • 地質調査業登録会社
  • 測量業登録会社
  • 産業廃棄物処理認可を得ている会社
  • 医療法人
  • 社会福祉法人
  • 特定非営利活動法人(NPO法人)

決算書を入手する方法 1.建設業許可を取得している会社

建設会社や工務店は請負金額が建築工事1,500万円、内装工事や電気工事など29種類に分類されている専門工事で500万円を超える場合には建設業の許可を取得しないといけません。

また、公共工事を請ける際に建設業者が必ず受けなければならない経営事項審査がありますが、この経営事項審査には決算書の提出も含まれているのです。

建設業の許可には各県土整備事務所が管轄する県知事許可と、各地方整備局が管轄する大臣許可があります。調べ方は国土交通省が運営する「建設業者・宅建業者等会社情報検索システム」で調べることができます。

国土交通省が運営する建設業者・宅建業者等会社情報検索システム
http://etsuran.mlit.go.jp/TAKKEN/

建設業の許可を取得していることが分かったら管轄の県土整備事務所か地方整備局で経営事項審査結果の閲覧することで決算書を見ることができます。

決算書を入手する方法 2.宅建業免許を取得している会社

宅建取引業免許、いわゆる宅建業免許ですが、こちらも「建設業者・宅建業者等会社情報検索システム」で調べることができます。

しかし、不動産賃貸業や自己所有の不動産の賃貸・売買など宅建業免許を必要としない不動産会社もあります。

また、宅建業免許申請は5年間の有効期限があるので提出されている書類は5年毎で貸借対照表と損益計算書のみ。株主変動計算書はありませんが、会社によって提出している場合もあります。

建設会社と同様、管轄の県土整備事務所か地方整備局で経営事項審査結果の閲覧することで決算書を見ることができます。

決算書を入手する方法 3.マンション管理業登録会社

マンション管理業登録ですが、こちらも「建設業者・宅建業者等会社情報検索システム」で調べることができます。

管轄する地方整備局でマンション管理業者登録簿を閲覧することができ、決算書を見ることができますが、宅建業免許同様、マンション管理業者の登録の有効期間も5年です。

決算書を入手する方法 4.5.6.建設コンサルタント、地質調査業、測量業登録会社

建設コンサルタント、地質調査業、測量業に登録さている会社はいずれも「建設業者・宅建業者等会社情報検索システム」から3つの業種を選んだら「建設関連業の登録業者に関する情報提供システム」が開きます。

その中から建設コンサルタント、地質調査業、測量業のExcelファイルで確認できます。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000059.html

各登録業者のExcelファイルから検索し、売上や総利益、当期利益や純資産など一定の項目ならその場で見ることもできます。

これら3つの登録会社は管轄する地方整備局で閲覧することで決算書を見ることができます。

決算書を入手する方法 7.産業廃棄物処理認可を得ている会社

産業廃棄物を扱う産廃業者では処理業者のみ、決算書を見ることができます。公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が運営する「さんぱいくん」で、地域や許可情報、業者名、業者番号などから検索できます。

公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が運営するさんぱいくん
http://www2.sanpainet.or.jp/zyohou/index.php

財務諸表から直近3期分の決算書が見れるほか、会社の沿革や許可内容、産業廃棄物の種類、処理能力、処理方式、構造・施設の概要、社内組織体制などがわかります。

決算書を入手する方法 8.医療法人

医療法人または医療法人社団、医療法人財団、社会医療法人などは医療法第52条第1項に規定する事業報告書や監事の監査報告書等の閲覧ができます。

事業報告書等には事業報告書のほかに財産目録、貸借対照表、損益計算書があり、決算後後2ヵ月以内に事業報告書等を作成し、3ヵ月以内に都道府県知事に提出しなければなりません。

提出先は管轄する保健所となっているので、閲覧する場合は市役所、または各町村の保健所ですが、複数の市町村にまたがって病院などを運営している場合、県庁の保健福祉局や医療課などが管轄となっていることもあります。

決算書を入手する方法 9.社会福祉法人

社会福祉法人とは社会福祉法第22条で定義される公益法人であり、法人税上では公益法人等に当たることから決算書は各社会福祉法人のWEBサイトで公表されています。

その中でも公表していない社会福祉法人については「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」で確認することができます。

社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム
https://www.wam.go.jp/wamnet/zaihyoukaiji/pub/PUB0200000E00.do

現況報告書および計算書類をダウンロードすることで決算書は確認でき、現況報告書では会社の基本情報や理事、評議員などの状況、事業等の概要、計算書類では財務諸表や拠点区分や事業区分で分けられた資金収支内訳書などが確認できます。

決算書を入手する方法 10.特定非営利活動法人(NPO法人)

特定非営利活動法人であるNPO法人に関する事業報告書等、役員名簿、定款等を作成し、事務所に備え置かなければなりません。

また、所轄庁への提出が義務づけられており、正当な理由がある場合を除いて、その社員及び利害関係人に閲覧させなければならないとされています。

事業報告書には活動計算書、貸借対照表、財産目録、年間役員名簿、社員のうち10人以上の者の氏名等を記載した書面などがあり、提出された決算書などの書類は内閣府が運営する「内閣府NPOホームページ」()で見ることができます。

内閣府が運営する内閣府NPOホームページ
https://www.npo-homepage.go.jp/

NPO法人によっては所轄庁に提出された書類が反映されていない場合もあるので、所轄庁で閲覧するほうが確実です。所轄庁は管轄する合同庁舎によって名前が違いますが、東京であれば東京都庁第一本庁舎 都民生活部などになります。

まとめ

取引先やライバル会社の決算書を入手する方法を紹介しましたがどうでしたか?

上場企業の場合、決算書を手に入れる方法はいくつもあります。

決算公告の義務があっても非上場企業の決算書を閲覧することはできませんが、調べたい会社の決算書が入手できない場合でも簡単な業績などを調べることはできるので、そちらも参考にしてみてください。

企業信用調査の重要性と自社でできる信用情報の確認方法
https://asobitoshigoto.com/job/shinyochosa-kakunin/