企業信用調査の重要性と自社でできる信用情報の確認方法

企業信用調査の重要性と自社でできる信用情報の確認方法

健全な企業経営をおこなうためには売掛金未収や貸倒れなどを避け、企業間取引におけるトラブルを未然に防がなければいけません。

取引先の会社に支払い能力があるか、累積赤字や債務超過を抱えてないかなどの信頼性を確認し、取引の可否や与信限度額を決める必要があります。

そのためにおこなうものが信用調査といわれるもので、今回は信用情報を自社でどこまで確認できるかを説明していきます。

信用調査で調べるべき項目

信用調査で調べるのは会社の基本情報、不動産情報、代表者情報、財務内容情報の4つが重要です。

基本情報

会社の基本情報はまず登記簿ともいわれる履歴事項証明書を取得し、その会社がいつ設立されてどのくらい運営されているか、会社の目的や資本金、役員などを見ていきます。

会社登記のポイント
  • 創業年月日は記載されない
  • 広告の方法を知れる
  • 県外から移転してきた場合は登記記録に記載される
  • 資本金は1円から設定できる

設立したばかりの会社でも、会社組織となって日が浅くても個人事業主として何十年も運営してきた場合があります。

その場合、株式会社であれば決算公告が義務付けられているので官報や新聞など決算公告の方法などを知ることができます。

また、資本金が大きい場合や役員に大手の会社役員が兼任している場合もあるので、役員名で検索をすることも大事です。

不動産情報

会社の住所が所有不動産か賃貸か、社長の自宅かなどを調べます。

マンションやオフィスの1室であっても分譲の場合があり、会社所有か社長が所有して会社に貸しているといったこともあります。

同様に社長の自宅も所有か賃貸かで会社や個人の資産背景が見えてきます。

会社の登記上では本社や支店、社長の自宅、有限会社であれば取締役すべての住所がわかりますが、収益物件などはわかりませんよね。

そういった時に役にたつのが「登記簿図書館」、これがかなり便利!

登記簿図書館
https://xn--lcss68alvlysfomtekv.com/

全国のブルーマップが無料で閲覧できるほか、5500万件の登記情報のデータベースから会社名や個人名での不動産情報を検索することができます。

どこに不動産を持っているのかわからない、そもそも会社や自宅以外に不動産を持っているかもわからないといった場合でも検索できます。

不動産登記のポイント
  • 所有する不動産の広さや築年数
  • 抵当権の設定があるか
  • 共同担保目録があるか

土地の所在地や広さはそのまま資産価値に比例しますよね、もちろん建物の分譲部分の広さもそうですが。

個人で不動産を購入する場合に住宅ローンなどで資金を調達した際には返済できない場合に土地や建物を担保とする抵当権設定、会社が不動産を購入する場合に金融機関から資金を調達した際には抵当権ではなく根抵当権設定というのがあります。

根抵当権設定を契約する際は極度額といわれる上限金額と債権の範囲を決め、その範囲内であれば何度借りたり返したりしても、抵当権はそのまま維持できる仕組みです。

抵当権には債権の担保として複数の不動産を対象にする共同担保があり、それをまとめているのが共同担保目録です。

ここを見ればすべてとはいわないまでも、ほかに所有する不動産がいくつあるかがわかります。

代表者情報

個人情報の保護に関する法律、この個人情報保護法が施行され個人の情報を得ることは難しくなりました。

公開された個人の情報はネットで検索するほか、官報や新聞記事、メディアやFacebook、TwitterなどのSNSで探してみましょう。

とくに官報や新聞記事は過去のネガティブ情報がヒットするかもしれません。

財務内容情報

財務内容といってもどうやって調べたらいいの?と思いますよね。

決算書の入手方法は「取引先やライバル会社の決算書を入手する方法」でも紹介していますが、決算書が入手できない場合、図書館などに置いてある信用調査会社の要覧を見るといいでしょう。

取引先やライバル会社の決算書を入手する方法
https://asobitoshigoto.com/job/kessan-shiraberu/

ほかにも各業種に分けられた要覧や総覧、名鑑などがあります。

廃刊されたものや数年に1度発刊されるものがあり、最新ではない場合もあるので注意が必要ですが、まったく何もわからないよりは参考になります。

会社の業績を見ることができる要覧など
  • 帝国データバンク会社年鑑
  • 東商信用録
  • 東経会社要覧
  • 会社四季報
  • 会社四季報 未上場会社版
  • 日経会社情報
  • CSR企業総覧
  • 医薬品企業総覧
  • 建設名鑑
  • 全国日用品・化粧品業界名鑑
  • 半導体産業会社録
  • 紙パルプ企業・工場データブック
  • 地質調査業者要覧
  • 海運造船会社要覧
  • 海事関連業者要覧
  • 内航船舶証明書
  • 港開海運事業者要覧
  • パチンコ産業年鑑
  • 広告関連会社名鑑
  • ドラッグストア名鑑
  • フルードパワー工業総覧
  • 設計事務所便覧
  • 特許事務所年鑑
  • 日本金融名鑑
  • 情報処理ソフトウェア会社録
  • 助成団体要覧
  • Web制作会社年鑑
  • WEB制作会社総覧
  • WEBプロ年鑑
  • デジタルマーケティング年鑑
  • ホームセンター名鑑
  • レジャーランド&レクパーク総覧
  • ゲーム産業白書
  • 日本ホテル年鑑
  • ゴルフ場企業決算年鑑
  • 認定NPO法人名鑑
  • 独立行政法人・特殊法人総覧
  • 環境NGO総覧
  • 日本ホテル総覧
  • 冷凍食品業界要覧
  • 冷凍食品年鑑
  • 食品産業年鑑
  • 日本の食品工業
  • 全国食品工場総覧
  • 全国食品流通総覧
  • 食品メーカー総覧
  • 会社要覧食肉ハム・ソーセージ業界
  • 工業用品ゴム樹脂ハンドブック
  • 化学工業会社録
  • コンクリート製品・企業便覧
  • 農機商工業信用録
  • 食品メーカー総覧
  • 生コン年鑑
  • セメント年鑑
  • 鉄鋼年鑑
  • 日本の石油化学工業
  • 防水総覧
  • 全国信用金庫名鑑 など

TSR企業情報ファイル「CD・Eyes」でほぼ解決

信用調査会社大手の東京商工リサーチが提供している企業情報データ「CD・Eyes」

大企業から中小企業も含めた売上上位約50万社/25万社の最新企業情報を収録しています。

29項目の検索キーを組み合わせて、条件にあった会社を選び出すことも可能で、業績や会社の特色を調べることはもちろん、売上順や地域などに絞った企業リストを作成するのも容易にできます。

項目内容
収録内容企業コード・上場区分・商号・代表者・郵便番号・所在地・電話番号・設立年月・創業年月・資本金・従業員数・業種・役員・大株主・事業所・営業種目・仕入先・販売先・取引金融機関・最新3期の決算期(売上・利益・配当)・伸長率・概況・代表者(生年月日・住所・干支・出身校・出身地)など
検索キー(29項目)企業コード・上場区分・商号・代表者・所在地・設立年月・創業年月・資本金・従業員数・業種・役員・大株主・営業種目・仕入先・販売先・取引金融機関・最新売上・最新利益・代表者生年月日・同出身校・同出身地等
検索条件検索キー項目内の範囲指定、検索キー項目内および項目間のAND、OR、NOTの論理演算機能
ソート条件企業コード・商号(カナ)・郵便番号・設立年月・資本金・従業員数・最新売上・最新利益の昇順・降順

※DVD-ROMに収録されたデータベース

CD・Eyes50は50万社、CD・Eyes25は25万社が収録されており、なんといっても図書館で無料で利用できます。

信用調査会社を利用する前にすること

さて、ここまで紹介してきましたが、もっと簡単に手っ取り早く調べたいという人は富士通の子会社ジー・サーチが運営する「G-Searchデータベースサービス」です。

G-Searchデータベースサービス
https://db.g-search.or.jp/

有料にはなりますが、日本最大級のビジネスデータベースサービスとして信用調査会社大手3社といわれる帝国データバンク、東京商工リサーチ、東京経済の企業情報や財務情報を一括して検索し、調べることができます。

データベースでは企業情報のほかに新聞記事やコンプライアンスチェック、人物情報、日経テレコン21があります。

ただし、新聞記事や日経テレコン21、過去の判例を集めた判例タイムズなどは図書館でも利用できます。もちろん無料なので有料と無料のサービスを使い分けるのがいいでしょう。

まとめ

信用調査会社は信用情報を得るために十分なノウハウを持っていますが、そのデータは信憑性に乏しい場合も多々あります。

それには信用調査会社の会員となることでネガティブ情報を表に出さないように配慮してもらうケースや、信用調査に対応してもらえないケースなどがあります。

ワンマン社長の中小企業が信用調査で売上が5億円、利益が3,000万円ですと答えたが、実際は売上が1億円、利益が10万円しかない会社だったなんてことも証明はできません。

もちろん裏取りはするとしても、信用調査は対応する社長や担当者の良心に頼った側面もあるので、すべてを鵜吞みにはせず、確認できる情報は自分で集めることも重要になります。