2023年は倒産がすごく増えている!
実質無利子・無担保のコロナ融資(ゼロゼロ融資)の返済開始が2023年6月から8月以降にピークを迎えることで、企業倒産が増えるとあちこちで聞かれます。
しかし、コロナ禍も落ち着き、支援金や給付金、補助金などさまざまな支援対策はなくなりましたが、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行によって、マスクの着用や感染者、濃厚接触者の外出自粛義務もなくなりました。
人出が戻り、経済も回り始めたことで、コロナ禍で積み上がった過剰貯蓄が消費に回り、社会活動は正常化するとも言われています。
外国人の個人旅行も解禁となり、インバウンドは絶好調で、2023年10月の訪日外国人数は252万人と単月では過去最高を更新!
一方で、倒産件数は増加しているとはどういうことなのか。
コロナ以前の倒産件数に戻っただけ
実際、倒産件数は増えているのか。
信用調査会社大手2社の「帝国データバンク」と「東京商工リサーチ」は、コロナ禍での全国の倒産が増加している!ゼロゼロ融資利用後の倒産が増加している!と発表しています。
ですが、2社が発表している全国企業倒産状況を見てみると、コロナ以前の倒産件数に戻っただけの状況。
帝国データバンク
年度 | 倒産件数 | 負債総額 |
---|---|---|
2013年 | 1万332件 | 2兆7,575億4,300万円 |
2014年 | 9,180件 | 1兆8,678億円 |
2015年 | 8,517件 | 2兆108億800万円 |
2016年 | 8,164件 | 1兆9,916億8,300万円 |
2017年 | 8,376件 | 1兆5,551億3,300万円 |
2018年 | 8,063件 | 1兆6,255億5,200万円 |
2019年 | 8,354件 | 1兆4,135億8,500万円 |
2020年 | 7,809件 | 1兆1,810億5,600万円 |
2021年 | 6,015件 | 1兆1,633億900万円 |
2022年 | 6,376件 | 2兆3,723億8,000万円 |
2023年上半期 | 4,006件 | 9,065億8,400万円 |
東京商工リサーチ
年度 | 倒産件数 | 負債総額 |
---|---|---|
2013年 | 1万855件 | 2兆7,823億4,700万円 |
2014年 | 9,731件 | 1兆8,740億6,500万円 |
2015年 | 8,812件 | 2兆1,123億8,200万円 |
2016年 | 8,446件 | 2兆61億1,900万円 |
2017年 | 8,405件 | 3兆1,676億3,700万円 |
2018年 | 8,235件 | 1兆4,854億6,900万円 |
2019年 | 8,383件 | 1兆4,232億3,800万円 |
2020年 | 7,773件 | 1兆2,200億4,600万円 |
2021年 | 6,030件 | 1兆1,507億300万円 |
2022年 | 6,428件 | 2兆3,314億4,300万円 |
2023年上半期 | 4,042件 | 9,340億8,000万円 |
企業が倒産する場合、破産手続を裁判所に申請します。
ところが、コロナ禍では緊急事態宣言やコロナ感染者の発生による消毒で裁判所などが閉鎖したり、窓口が閉まっていたこともあり、破産の申請が減っていたこともあります。
もっと言えば、コロナ以前の方が倒産件数は多かった!
倒産寸前だった企業が、ゼロゼロ融資で持ち堪えたことによって倒産が大幅に減少したことも要因の1つです。
2023年1月から11月までの倒産は?
2023年も終わりに差し掛かっていますが、12月を除いた11月までの倒産件数はどうなっているのでしょうか。
帝国データバンク
月別 | 倒産件数 | 負債総額 |
---|---|---|
1月 | 546件 | 507億6,900万円 |
2月 | 574件 | 1,005億4,600万円 |
3月 | 800件 | 1,435億1,400万円 |
4月 | 610件 | 2,088億700万円 |
5月 | 694件 | 2,797億4,000万円 |
6月 | 782件 | 1,232億800万円 |
7月 | 701件 | 1,804億7000万円 |
8月 | 742件 | 995億100万円 |
9月 | 679件 | 6,951億1,000万円 |
10月 | 790件 | 3,055億8,400万円 |
11月 | 773件 | 881億5,000万円 |
合計 | 7,691件 | 2兆2,753億9,900万円 |
東京商工リサーチ
月別 | 倒産件数 | 負債総額 |
---|---|---|
1月 | 570件 | 565億2,400万円 |
2月 | 577件 | 965億8,000万円 |
3月 | 809件 | 1,474億3,400万円 |
4月 | 610件 | 2,038億6,100万円 |
5月 | 706件 | 2,787億3,400万円 |
6月 | 770件 | 1,509億4,700万円 |
7月 | 758件 | 1,621億3,700万円 |
8月 | 760件 | 1,083億7,700万円 |
9月 | 720件 | 6,919億4,200万円 |
10月 | 793件 | 3,080億1,000万円 |
11月 | 807件 | 948億7,100万円 |
合計 | 7,880件 | 2兆2,994億1,700万円 |
帝国データバンクと東京商工リサーチの月別で見る2023年の倒産件数はこの通り!
12月のはまだですが、平均すると帝国データバンクで699件、東京商工リサーチで716件です。
それぞれ平均倒産件数を足すと帝国データバンクで8,390件と東京商工リサーチで8,596件、やはりコロナ前の水準に戻っているだけですね。
まとめ
テレビやネットニュースではコロナ関連倒産や、ウクライナ情勢、物価高、円安などで倒産が増加している!と報じていますが、実際はコロナ以前の水準に戻っただけ。
2013年には1万件を超えていた倒産件数も年々減少。
これからゼロゼロ融資の返済が本格化することでさらに倒産が増加すると言われています。
しかし、本格化する前にコロナ以前の倒産水準に戻ったということは、そもそもの倒産原因がゼロゼロ融資にないのでしょう。
倒産件数が増えているわけでもないのに、過激でセンセーショナルな話題に関心が向いてしまっているのは新型コロナウイルスの感染による不安や恐怖の影響なのかもしれません。