落語家の林家木久扇(旧名木久蔵)が考案した「林家木久蔵ラーメン」。
いつしかまずいとして評判になり、林家木久扇が出演している笑点でも「まずい」「食べたらお腹を壊す」など自虐的なネタで広く知られるようなったラーメンです。
かつては林家木久扇と横山やすしが結成した「全国ラーメン党」で販売していたこの木久蔵ラーメン、最盛期には約27店舗が展開され、スペイン・バルセロナにまで支店を出しが現在はすべて閉店している。
そんな木久蔵ラーメンを製造販売する会社が林家木久扇の事務所に約4,200万円の損害賠償を求め福岡地裁に提訴したというのだそう。
林家木久扇の事務所とは1食5円の対価支払い契約で、商標権の期限が切れていることが判明。
そのため、対価支払いの停止を求めたが一方的に契約解除を通告、出荷停止や在庫処分などの損害を受けたとしています。
木久蔵ラーメンを製造する会社とは
現在、木久蔵ラーメンを製造している会社は福岡にある株式会社まあるいテーブル。
林家木久扇とライセンス契約し、製造・販売をしている会社ですが、びっくりしたのは木久蔵ラーメンを作っているのは東京ではなく、福岡の企業だったんですね。
- 株式会社まあるいテーブル
- 〒814-0031 福岡県福岡市早良区南庄1-5-21メゾン南庄107
- 設立:1985年11月
- 資本金:2,200万円
- 代表取締役:渡邊 二郎
- URL:http://gt-n.com/
信用調査会社の企業情報を見てみると、決算月は8月で平成29年8月期の売上高は5億4,000万円ですが、平成30年8月期は5億円、令和1年8月期は3億8,000万円と減収で推移しているようです。
令和1年8月期というと新型コロナ以前ですので、今はさらに売上が落ち、資金繰りが厳しくなっているかもしれません。
そのような中、商標登録が切れていたにもかかわらずライセンス料金を支払わされていたとなれば訴訟したくなるのもわかります。
木久蔵ラーメンの商標権はいま
現在、木久蔵ラーメンの商標権はどうなっているのでしょうか。
特許や意匠、商標などは特許庁が運営する特許情報プラットフォームで確認することができます。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/s0100
特許情報プラットフォームを見てみると、有限会社トヨタアートが2021年6月21日に林家木久蔵ラーメンの商標登録を出願、現在は審査待ちとなっています。
この出願人になっているトヨタアートは林家木久扇の事務所です。
トヨタアート側は争う姿勢を見せているようですが、商標は出願中で審査待ちとなっているということは商標権の期限が切れていたことに間違いはなさそうです。
本場の木久蔵ラーメンを食べてみる
全国ラーメン党がなくなり、木久蔵ラーメンは東京駅や羽田空港でのお土産のほか、Amazonや楽天市場でも購入可能です。
リアル店舗で食べることはできなくなったと思っていた木久蔵ラーメンですが、実は福岡にある「博多めんちゃんこ亭」では今でも木久蔵ラーメンを食べることができます。
現在は改良された新・木久蔵ラーメンとなっており、林家木久扇と古くからの友人関係だっためんちゃんこ亭創業者の米濱前社長がコラボ商品として作られたメニュー。
独占販売商品として提供されていることから通販で購入できる木久蔵ラーメンとは違うオリジナルのようですね。
新たに改良された新・木久蔵ラーメンですが、優しく深い味わいのスープで煮卵、太いメンマ、分厚いナルトと具だくさん。
メニューには昔ながらの中華そばと書かれているとおり、ラーメンとして食べると物足りないが、中華そばと思って食べるとそれなりに美味しいです。
ただ、麺は細切れにされているのか箸でつかんでもボロボロと落ちていくのでとにかく食べにくい印象でした。
まあるいテーブルとめんちゃんこ亭の共通点
まあるいテーブルは出荷停止や在庫処分などの損害を受けたため、損害賠償を請求しているが、なぜ今でもめんちゃんこ亭では木久蔵ラーメンが食べられるのでしょうか。
めんちゃんこ亭を運営するのは株式会社鬼が島本舗という、これまた福岡の会社です。
実はまあるいテーブルの渡邊社長は鬼が島本舗の取締役を務めたこともあるそうで、木久蔵ラーメンやめんちゃんこ亭との繋がりはここにあるようですね。
ですが、めんちゃんこ亭にある木久蔵ラーメンは新・木久蔵ラーメンであり、鬼が島本舗のWEBサイトには2021年9月18日、木久蔵ラーメンの商標に関する争いは無関係としたプレスリリースを配信しています。
今回、損害賠償請求したまあるいテーブルの木久蔵ラーメンと、めんちゃんこ亭の新・木久蔵ラーメンは別物なのかもしれません。
どうなる木久蔵ラーメン
商標権は商品やサービスの登録商標の使用を独占できる権利ですが、期間は登録から10年ですが、更新すれば権利はそのまま続きます。
更新を忘れていたのか、たまたま更新時期だったのかはわかりませんが、商標権が切れていることを把握しないままライセンス料を支払い続けたのであればまあるいテーブル側にも落ち度はあるのかもしれません。
笑点で宣伝してくれることもあり、ネームバリューもあって広告宣伝費も抑えられていたと思いますが、正式に契約解除されるリスクがある中、訴訟に踏み切った理由があったのでしょうか。