織り姫と彦星が1年に1度会うのは無理?近くに見えて14.4光年離れている2つの星は光のスピードで何年かかる?

織り姫と彦星が1年に1度会うのは無理?近くに見えて14.4光年離れている2つの星は光のスピードで何年かかる?

七夕(たなばた)は「しちせき」とも読み、中国王朝「漢」の時代の文献「古詩十九首」が初出とされています。

天空の神様「天帝」には「織女(しょくじょ)」という娘がいました。

織女は神様たちの着物の布を織る仕事をし、天の川のほとりで毎日熱心に機を織っていました。

恋人もいない織女をかわいそうに思った天帝は、天の川の対岸で牛を飼っているまじめな青年「牽牛(けんぎゅう)」を織女に引き合わせると、2人はひと目で恋に落ち、結婚しました。

結婚してから2人は毎日遊んで暮らし、織女が機を織らなくなったの神様たちの着物はすりきれてぼろぼろ。

牽牛も牛の世話をしなくなったので牛が病気に、これに怒った天帝が2人を引き離しましたが、今度は悲しみのあまり2人は毎日泣き暮らし、仕事になりません。

そこで、2人が毎日まじめに働くなら年に1度、7月7日の夜にだけ会うことを許しました。

これが、私たちのよく知っている七夕伝説です。

14.4光年離れている織り姫と彦星

七夕伝説に登場した織女は日本でいう織り姫でこと座のベガ、牽牛は彦星でわし座のアルタイル。

どちらも1等星で明るい星で、はくちょう座のデネブを加えて、「夏の大三角」とも呼ばれています。

年に1度、7月7日の夜に会うことができる織り姫と彦星。

ですが、これはあくまで伝説なので実際に星が移動することはありません。

2つの星は14.4光年ほど離れていると言われていますが、地球1周が4万km。

地球を7周半回ったとすると、光が1秒間に進む距離は約30万kmなので、これを1年に換算すると1光年は約9兆5,000億kmとなります。

つまり14.4光年は・・・

136.8兆km!

つまり、織り姫と彦星1年に1度ではなく、14年に1度しか会えないんです、ちょっと想像ができない距離ですよね。

織り姫と彦星の移動手段は?

彦星は織姫に会い牛車(ぎっしゃ)で通ったといわれています。

牛車とはその名の通り、牛にひかせて貴族が乗った車。

のろい乗り物のイメージですが、出そうと思えば時速30kmくらいは出たとも言われています。

彦星が織姫に会うために牛車で通った場合、どれくらいの時間がかかるのでしょうか?

牛車で通った場合

136,800,000,000,000÷30=4,560,000,000,000
4,560,000,000,000÷24÷365=520547945.205

なんと、5億2,054万7,945年も時間がかかります。

5億以上、牛が走りっぱなしになることはないので実際には倍以上かかるでしょう。

まだまだ想像しにくい距離なので、近代的な乗り物で計算してみましょう。

新幹線 のぞみ

彦星が織姫に会いに新幹線のぞみで通った場合

新幹線のなかでも最速の「のぞみ」は時速300km、東京~新大阪間を2時間22分、東京~博多間を4時間46分で走破する最速の新幹線です。

そんなのぞみだとどれくらい時間が縮まるのでしょうか。

新幹線のぞみで通った場合

136,800,000,000,000÷300=456,000,000,000
456,000,000,000÷24÷365=52,054,794.5205

牛車の10倍のスピードなのでそのまま10倍するだけですが、それでも5,205万4,794年もの時間がかかります。

世界最速の航空機

彦星が織姫に会いにX-43(愛称:ハイパーX)で通った場合

NASAで開発、実験が行われたスクラムジェットエンジン搭載の無人試験機「X-43(愛称:ハイパーX)」。

空気吸込み型エンジンを搭載した機体としては最高速度となる1万2,144km(マッハ9.68)を記録した世界最速の航空機です。

ハイパーXで通った場合

136,800,000,000,000÷12,144=11,264,822,134.4
11,264,822,134.4÷24÷365=1,285,938.59982

さすが世界最速の航空機、一気に縮まって128万5,938年。

なんですが、まだまだ100万年以上もかかる距離とは一体・・・。

史上最高速度記録の太陽探査機

彦星が織姫に会いにHelios 2で通った場合

満を持して登場するのは人工物体としての史上最高速度記録の「Helios 2」です。

1976年に太陽系の活動を観測するミッション遂行のために打ち上げられたHelios 2ですが、その速度はなんと驚異の2億52,792kmもの最高速度を達成しました。

Helios 2で通った場合

136,800,000,000,000÷252,792=541,156,365.708
541,156,365.708÷24÷365=61,775.8408342

史上最高速度は伊達じゃない!

ついに6万1,775年にまで縮まりましたが、人類の英知を結集してもこれだけの時間がかかります。

天帝の怒りはよっぽどだったんでしょうね。

まとめ

いかがでしたか?

織り姫と彦星、実は光の速度でも14年以上かかってしまうので1年に1度会えるというのはとても無理なのです。

とはいえ、その距離を引き離すことができる天帝なら2人を引き合わせることも容易なんでしよう。

1年に1度会えるか会えないかはさておき、七夕の言い伝えや伝統にも思いをはせつつ、天の川を眺めてみるものいいですね。

画像出典:Firespeedy.com