コロナ禍でインバウンドが見込めず大赤字の福岡タワー!日本1高い海浜タワーとしてランドマークの意地はどうなる?

1989年開催のアジア太平洋博覧会、通称よかトピアのモニュメントとして建設された福岡タワー。

福岡市と地元有力企業との共同出資の第三セクターとして建設されたランドマークタワー(電波塔)。

高さは234m、日本で1番高い海浜タワーとしても有名です。

福岡市の街並みと博多湾の360度パノラマを一望でき、夕日や夜景も絶景!

施工は鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設、竹中工務店のスーパーゼネコン5社JV(建設工事共同企業体)という一大プロジェクトでした。

大赤字の福岡タワー

福岡タワーは福岡タワー(株)という会社が運営しています。

2021年8月1日時点では福岡市が33.3%出資する大株主の第三セクターで、資本金は30億円!

福岡タワー(株)の資本金内訳

出資者名 金額 出資割合
福岡市 10億円 33.3%
九州電力(株) 2億円 6.7%
(株)RKB毎日HD 1億9,000万円 6.3%
日本放送協会 1億6,000万円 5.3%
(株)西日本シティ銀行 1億5,000万円 5.0%
(株)福岡銀行 1億3,000万円 4.3%
大成建設(株) 1億2,000万円 4.0%
他(42社) 10億5,000万円 35.0%

上位10社の中でも福岡タワーを施工したスーパーゼネコンは大成建設のみ。

社長には福岡市水道サービス公社の理事長、取締役には(株)ゼンリンの社外取締役やRKB毎日ホールディングスの取締役、(株)テレビ西日本の常務取締役、西部ガスホールディングス(株)の代表取締役社長などが就任しています。

福岡タワー(株)の役員構成

役員の名称 氏名 就任年月日 市または民間における役職名
代表取締役社長 大和正芳 2020年6月17日
常務取締役 龍美樹 2017年年6月16日 (株)ゼンリン 取締役(社外)
取締役 天本俊明 2020年6月17日 福岡市経済観光文化局長
取締役 松浦泰久 2020年6月17日 (株)RKB毎日ホールディングス 取締役
取締役 傍田賢治 2020年9月24日 日本放送協会 福岡拠点放送局長
取締役 西村浩 2020年6月17日 (株)テレビ西日本 常務取締役 総務局長
取締役 道永幸典 2019年6月19日 西部ガスHD(株) 代表取締役社長
取締役 石川たかね 2021年6月16日 西日本鉄道(株) 執行役員 広報・CS 推進部長
取締役 二木清彦 2017年6月16日 九州朝日放送(株) 上席役員待遇
取締役 中村哲 2020年9月24日 西日本電信電話(株) 九州支店ビジネス営業部長
取締役 松尾健児 2021年6月16日 (株)西日本新聞社 取締役 総務局長常
勤監査役 柴田浩一

2018年6月17日
監査役 内冨誠 2021年6月16日 (株)西日本シティ銀行 執行役員地域振興本部 副本部長
監査役 生野義伸 2021年6月16日 (株)福岡放送 常務取締役
監査役 植山義幸 2021年6月16日 (株)TVQ九州放送 常務取締役

こちらも2021年8月1日時点ですが、そうそうたる顔ぶれですね。

そんな福岡を代表する施設なんですが、実は新型コロナの影響で厳しい状況になっていました。

臨時休館や時短営業、外出自粛による国内観光需要の縮小及び外国人観光客の激減が赤字の原因なんだとか。

2021年3月期では売上高5億2,781万円にたいして、いったいどのくらい赤字がでいているのかというと。

1億310万円の大赤字!

大丈夫なのか福岡タワー・・・。

これまで売上高7億円から8億円、数千万円の利益を計上してきた福岡タワーですが、2021年3月期の決算書では前年度展望料3億17百万円が90百万円に減少。

その分が大きく落ち込んだことで売上高が5億2,781万円に減少したようです。

福岡タワー(株)の財産及び損益の状況の推移(百万円)

区分 2016年3月期 2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
売上高 741 784 823 798 790 527
営業利益 145 127 77 94 78 ▲95
経常利益 135 121 75 93 77 ▲102
当期純利益 88 83 50 45 52 ▲103
総資産 4,451 4,381 4,260 4,506 4,551 4,339
純資産 3,814 3,897 3,948 3,994 4,046 3,943

公表されている福岡タワーの財産及び損益の状況の推移はこの通り。

2021年3月期が際立って大きく落ち込み、営業利益段階から赤字なので採算割れの状態なのがわかりますね。

ただし、販管費の内訳は公表されていないので、役員報酬がどのくらいあるのかわかりません。

これだけの地場大手企業の役員が常勤とは考えられませんが、福岡市が出資する第三セクターといえば言わば税金が投入されているようなもの。

赤字であればその部分もしっかり公表してもらいたいものですよね。

2022年3月期決算は例年通りなら2022年8月頃に公表されるでしょうが、インバウンド需要は落ち込んだままなので同様の赤字が見込まれます。

リニューアルした福岡タワーの空中散歩

福岡タワーの地上123mにある展望室へのエレベーターは約70秒で到着します。

なんと震度7の地震や風速63mに耐えられる設計!

開業30周年を迎え全面改装、2019年2月1日にリニューアルオープンした福岡タワーは、「福岡の空を楽しみ、景色で遊ぶ」をコンセプトに仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術を駆使したエンターテイメントフロアに。

これまでインバウンド需要が大きかったものを国内向けにシフトした形ですね。

空からカプセルが落ちてくる不思議な「天空ガチャ」や「仮想現実スポット」、そして恋人の聖地としてデートスポットとしても人気です。

ですが、国内需要だけでは今後も赤字が続くような気配。

2022年6月10日から再開された外国人観光客の受け入れで福岡タワーにも観光客が戻ってきてくれるのかはわかりません。

福岡のランドマークである福岡タワーの命運はインバウンド需要にかかっているのかもしれませんね。